SSブログ

医療費を削減すれば精度も下がる??それでも僕たちはコストは上げられません [お仕事!]

健診・人間ドック業務は通常企業が年度替わりになる4月以降が最盛期の始まりである。4月以降12月までは絶え間なく受診者が訪れる。昨今の不景気で企業の社会保険制度が崩壊しつつあり、健診・ドックに関するコストもどんどん制約を受け、自由診療の最たる人間ドックでさえもコスト切り捨て、経費節減、さらには人件費節減に向かわざるを得ない。一人あたりの単価も10年前と比べると平均で20%は値下げされていると思う。しかし岐阜よりは景気がよい関東エリア(東京都だけですか?)では人間ドックの単価は東海エリアの1.5倍に設定されているのではないか・・・腐っても首都東京である。地方が朽ちても東京だけは生き残りそう・・・今のうちに地方に媚を売っておかないと、首都直下型地震が来てもその時は岐阜県民は東京都民を助けてやらないかも・・・

さてさて、コストカット著しい、人間ドック業界であるが、マクドのように売りっぱなしで勝手に値段を上げ下げすることはできない。一定の精度を保つためにはそれなりの経費は必要なので、安くばかりしてもいられないし、検査精度は決して下げられない。

昨年はCT検査装置を新型16列に更新した。次はデジタルマンモグラフィー撮影装置・・これがバカ高い。さらに人間ドックオーダリングシステム・・・占めて・・・〇〇千万円・・・・トホホである。元取るためにはとにかく稼働させるしかない。年間〇万人のドック健診をこなさない限りは決して元々れない・・・・

しかし、新型16列CT装置に更新したことにより確実に成果があった!!早期すい臓がんの症例であったが、通常はすい臓がんは早期で見つかるケースはほぼ無いだろう。一生に1例でも早期ですい臓がんを発見し、根治出来るケースに出くわすのは珍しいと思う。僕自身初めての経験で会心の一発であった。そのほかにも肺がんが近年まれにみる確率で発見されたのは、胸部単純レントゲンではもはや意味がなく、やはりCT でなければ肺がん健診は成り立たないということだろう。

今回は人間ドック腹部超音波でいつもは異常なしと判断するようなごく小さなのう胞が気になって、精検扱いにした。単純CTでは異状なしの読影結果。でも気になってすい臓がん腫瘍マーカーをチェック。CA19-9がやや高い。エラスターゼ1は正常。もう一度、読影担当医にこの結果を持って相談。造影CTを行った。ダイナミックCTを行うとすい臓尾部にわずかに低吸収域がある。やはりこれは臭い・・・・MRI検査も追加しやはり同部位に低吸収域あり。

初期診断は膵管細胞がん 尾部型・・・大学病院に紹介し再度検査。最終診断は細胞検査以外に分からないということで、手術切除。細胞診断はすい臓がん。20mmの大きさで。遠隔転移、浸潤転移なし。ただし一部すい臓表面から飛び出しているので所属リンパ節郭清を行ったが、術後診断は早期すい臓がん、根治であった。この方10年以上前から毎年人間ドックを当院で受けており、昨年交通事故で結婚式を直前に控えた長男さんを亡くした・・・・

そんなこんなで本人にすい臓がんの可能性が高いと説明するのはかなり酷だったが本人はしっかり受け入れて手術を受けてくれたわけだ。

亡くなった長男さんのためにも今回拾った命をしっかりと受け入れて元気で活躍してもらいたいものだ。早期で発見される病気もあれば、完全手遅れな症例があるのも事実・・・・・自分にとっては会心の発見症例であった。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。