SSブログ

キタカマ・・・第二日、ザレのルーファイと登攀、そして長い長い林道歩行 [山行]

これはキタカマガイドをするつもりではなく、あくまでも僕の紀行文だけです。この夏の詳しい解説はココが善いかも・・・http://43.244.211.243/~ito/makari9/ 

9月21日(月)大半はテントサイトの数の制限も有り、キタカマ出合でテント泊が多いようだが、昨日は出来るだけ高度を稼ごうと、僕は上高地から槍沢経由、水俣乗越、天上沢下降、北鎌沢出合、北鎌沢右俣遡行で北鎌のコルまで来るのが目標だった。コルのテントサイトは2張りでいっぱいで、つらい登りをさらにした。約30分の上昇で何とか2張り張れそうなエリアの先行のテン泊者に場所を分けてもらい、テント設営。さすがにヨレヨレに見えたかどこから来た?と聞かれ上高地からココまで・・・と言うと?    ” ・・・・?エエッ一日でここまでか?・・・”・・・・と

ええ今日の朝一番のバスで新穂高から回ってきて、明日降りる予定で・・・

すごいな~ソロでここまでその日に来て1泊でキタカマかよ...こういう人がいるんだよな・・・と変に感心されたりしてしまった。しかし、ヘトヘトに疲れているところを見破られたか、手伝ってあげるよ・・・とテントポールを片方入れてもらいテント設営。ご飯さえ食べるのもおっくうだが、朝から行動食だけだったので総菜パンのみ1つ食べる。サイトは真下に石が出っ張っているがかまわず寝てしまった。小一時間も寝ただろうか。。。目が覚めて夕食の準備。軽量化のためインスタントラーメンと総菜のきんぴら、明日の分のアルファ米に湯を通す。お世辞にもおいしくないラーメンでしかも芯が残っておりまずさ極まりないものだったが、とりあえずカロリー摂取とした。こんな状況も大好きなM系男子・・・・

さて、夜の帳がおりだすと今登ってきた対岸の貧乏沢斜面に明日登る北鎌のシルエットが影絵となって映し出されている・・・・あそこを明日登るんだ・・・と久々の北鎌に期待と不安を覚える。夕刻のシルエットのコピー.jpg

夕刻のシルエット2のコピー.jpg

完全に陽が落ちると今度は夜の帳に包まれ星が頭上に浮かび上がる。久々のテン泊に興奮して寝付けそうにない。こんな不眠なら毎日でも歓迎だ。空を見上げながら、山の中でぽつんとちっぽけな自分の存在。この伝統の北鎌ルートに今いることの不思議さになぜか涙さえあふれてくる。明日の天気は約束された。満足のゆく山行を・・・・・P9210048夜.jpg

テン場からはしばらくはダケカンバ帯の中を縫うように進む急傾斜の草付き斜面の登下降。P9210057草つき.jpg

やがて天狗の腰かけに出ると眼前に独標が立ちはだかる。北鎌沢までのアプローチが第一の核心部ならば、ここからが第二の核心部・・・いよいよキタカマの世界だ。。。。P9210059独票立ちはだかる.jpg

まずは大きく下って小さな岩峰群を2つ超え、また大きく下る。ザレた急斜面にスリップしないように注意。ここでのスリップはそのまま、天丈沢までまっさかさまになる可能性もある。何度か小さくアップダウンで、独標の基部に到達。ここからいよいよ独標の巻きだ。クライミング装備ならば直登ルンゼも可能そうだがココは単独で無理はしない。出来るだけ巻きでスタンダードに攻める。状況を見て早めに稜線に上がって後半は稜線通しで行きたい。

SANY0608ミドリロープ.jpg

最初の核心は緑のトラロープで楽勝クリア。ただし完全ロープに頼るのは危険。頼りないロープのうえに足元はかなり狭いバンド(最近崩れて狭くなった模様)となっていた。しばらく斜上し今度は言わゆる腹這いトラバース・・・しっかりと姿勢を低くしてザックを引っ掛けなければ危険はないがステップの置き場や立ち上がる際にバランスを崩さないように注意。SANY0615トラバース.jpg

なおも、トラバースと登下降を繰り返し徐々に高度を上げる。トラバースはおおむね天丈沢側が基本。ただし過度に降りすぎてる踏み跡もあり注意。どれを選んでどれを捨てるか・・・自分で決めよう。さて、独標を左上に覗ながら僕はトラバースルートから外れてしまった。上部にも踏み跡が続く。岩に囲まれたチムニー状にぶつかった。ここで3つの残置ハーケン。2つはかなり錆びていて砕けそう。1つは比較的新しい。このハーケンに届く位置まで上がったもののその上はさらに厳しい大岩。さすがに人工じゃないと危険。そのためのハーケンだったか・・・・ここでのクライムダウンは緊張。手持ちの2本の120cmシュリンゲを2本つないでカラビナをかけこれを手掛かりに岩盤をクライムダウン。当然、残置にしてしまう可能性もあるが、何とか1本だけでも回収・・・と別の位置から少し登ってシュリンゲ1本とカラビナを回収。素でのクライムダウンは転倒の危険性大。小さく転倒するだけでもタダでは済まないだろう。運が悪ければ、そのまま、ガレ沢を滑落・・・死・・・ということにもなりかねなかった。やはり最悪緊急用の脱出ロープ、登攀装備は必要だった・・・ここはかなり反省。。。テン場で一緒だった後続のパーティーに心配をかけてしまい申し訳ありませんでした。途中でスタンダードルートまで慎重に戻り追いついて、無事であるる事を伝えた。。。。

さてここからもルーファイの妙は続く・・・・・登ったり降りたり、また戻ってきたり・・・・単独の場合は自分一人ですべてクリアーする精神力が必要となりある意味気が楽だが、やはりこういった状況下では精神的に疲労する。

dokuhyoumap.jpg

うろつきまわるとこういう軌跡・・・・・・・・・・

危険個所をクリアーするとあとは自分の力次第で稜線突破かトラバースかどこを選んでも恐らく進めるが足元は相変わらずガレておりスリップは注意。

何度か小さな10m規模の岩峰群を超えると最後におもむろに北鎌平に飛び出し眼前に大槍が立ちはだかる

P9210079北鎌平オオやり.jpg

ココで大休止・・・・水は1.5ℓ残。しっかり目に水分補給。行動食を2つ3つ・・・さてあとはモレーン状のガレ歩き。傾斜はやや急だがむしろ一般ルートからの穂先登りよりは易しいかもしれない。穂先直下30m位のところだろうか、チムニーに出くわす。下のチムニーは直登可能だが巻きも可能。ココは巻いてしまった・・・最後のチムニーは右のステップを足がかりにフットジャムを効かせて体を持ち上げるとあとは安定した岩登り。最後は頭上に人々の話し声を聞きながら、おもむろに祠の後ろに飛び出して感無量のうちに終了点となった。

SANY0628チムニー.jpg

山頂は人だかり・・・・登ってくるのに1時間以上だとか・・・これなら、北鎌から登ってきても大差ないかも・・・なんて冗談を考えたりもする。。。

P9210082山頂.jpg

自分にとってのソロでの北鎌は終わった。あとは予定通り新穂高まで降りるだけだが、前回は電車アプローチで高瀬ダム~千天出合~経由で新穂は夜の7時30分で交通機関なく、岐阜までタクシーでら六万円かけて帰ってきた・・・今回は車デポにつき余裕でゆっくり歩く・・・・ところが・・・・今回はタクシー台に匹敵する携帯紛失・・・おそらくは槍が岳山荘周辺・・・・損害5-6万円相当・・・・である。自分にとってのキタカマはルートの危険性よりもその後の処理が最も危険な時間なのかもしれない。

キタカマ・・きたかま・・kitakama・・・北鎌・・・この響きはやはりなぜか独特な威圧を持って感じられる。

ケイタイ・・けいたい・・keitai・・・命あっての山登りだがされど、携帯・・・いまだ見つからず。

来週槍が岳までレスキューに向かってしまおうか・・・・いい口実かもしれない。


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。